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研ぎが最も上手な人とは2

投稿日:02/04/2016 更新日:

こんにちは^^uracciです。

前回の投稿では、プロに研いでもらった刃物は素晴らしいけれども
本当に最適化されているのは、自分自身で研いだものだと書きました。

これについては、裏付けがあります。
私は、鍛冶屋さんを40件以上取材していますが
そのうち、ご高齢の方のほとんどが
「昔は本刃付けして納品なんてしなかったよ」とおっしゃります。
包丁鍛冶でも、鉋鍛冶でも、鉈鍛冶でも同様です。
ただ、鋏だけは、素人ではかしめをバラして研げないので納品時から刃を付けていたそうです。
ざっくりと、今時点で60歳以上、1960年より以前にお生まれになっている方々は
けっこう、本刃付けはしなかったと話してくれます。

「鍛冶屋は鍛造のプロなんだから研ぐんじゃない」とか
「おれが切れると思うように研ぐ」とか
大工さんや板さんから言われたらしいです。
ひどいときには「お前が研いでも切れねぇんだよ」とすら。
もちろん、鍛冶屋さんの研ぎの技術は相当なものです。
それでも、本職のプロは鍛冶屋の研ぎを許さなかったそうです。

これが意味するところは、「研ぐ」という行為が文化だったということです。
人任せでなく、自分でやること。
プロの大工さんや板さんなら、なおのことでしょう。

たとえば、私が営むたたらやとTETSUFUKUで取り扱っている
堺の松尾刃物さんでは、最終的な刃付けはせずに出荷しています。
その状態でも、切れるのですが、完全にピンピンに研ぐと
輸送の際に万が一刃こぼれしたら怖いからとのことでした。
特に正夫(柳刃包丁)は、本気で研いだら薄くなるそうです。

大量生産品がたくさん出回り、使い捨ての道具が増えています。
それがダメなのでなく、便利なことは確かなこと。
必然的に、手間がかかる「研ぎ」は不要という雰囲気になってきます。
時代の流れに刃向かうのでなく、それはそれ、これはこれということで
私たちは研ぎについて考えていければと思います。

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uracci

工学部材料工学科卒、しかも専攻は鉄鋼材料。しかし、当時は何の魅力も分からず遊んで大学を卒業する。仕事は、大学の専攻にまったくがない広告制作業を選択。時は流れ…何の因果か、雑誌で鍛冶屋の特集を担当することに。あの時、もっと勉強しておけばよかったと思いつつ、もう、これは何かの業だと腹をくくり、鉄と鋼に詳しくなろうと決意。雑誌「庭」にプロの職人の道具について、連載を継続中。

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